ある少年の告白(2018年)
『ある少年の告白』(2018年)
原題:Boy Erased
ガラルド・コンリー著
”Boy Erased:A Memoir of Identity, Faith, and Family”
(消された少年:アイデンティティと信仰、家族の回想)
が原作。著者が19歳のころに受けた衝撃の実話がベースとなった回顧録映画。
同性愛は矯正することができるのか?
アメリカに実際に存在するという同性愛矯正施設の実状と、主人公ギャレットの厳格なキリスト教一家の歩みを描いた物語。宗教というのは時に厄介なもので、特にギャレットのように幼いころからキリスト教の影響を受けていると、あのような矯正法は本当に苦しい思いをしたのだろうと胸が締め付けられました。
本作で主演を務めたのは、ルーカス・ヘッジズ。今注目の若手俳優さんです。
家族との関係に悩む姿をとても繊細に演じていました。
そして、監督を務めたのは、ジョエル・エガートン。彼は俳優のイメージがありますが、監督としても活躍の場を広げているようです。彼は出演もしており、矯正施設の怪しい教師役を熱演していました。
本作及び原作本で問題提起されている同性愛矯正施設について、私はかなり過激な印象を受けました。恐らくこれにはキリスト教の影響が大きく、熱心な教徒であるからこその悩みというものもあると思います。そのため、感情移入できない場面も多くあったように思います。
しかし、映画の本質は自分を偽ることや役を演じることから脱出した先の自分
を見つけることにあると思います。
つまり、矯正施設に行くことは、変わるのではなく偽ることなのではないか
とギャレットは気づいたのです。この気づきができるかできないかは大きな違いだと思います。気づいたギャレットは前に進むことができた一方で、自分を偽り続けている施設の仲間は施設に囚われている(仲間の一人は自殺をしてしまった)のではないかと感じます。
近年のLGBTQ運動の活発さもあり、「自分は関係ない」という時代ではなくなっています。映画界隈でも多くの作品が作られています。
『君の名前で僕を呼んで』(2018年)
『キャロル』(2015年)
『わたしはロランス』(2013年)
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こういった作品は、LGBTQという存在を知ること、抱える悩みについて少しでも理解することの大きな助けになるのではないかと思います。私自身も実際にそうなので。
世の中は広く、いろんな考え方があってよいと思うのです。
好きなことを好きだと言えないなんて、悲しすぎませんか。