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毛皮のエロス/ダイアン・アーバス 幻想のポートレート(2006年)

 

『毛皮のエロス/ダイアン・アーバス 幻想のポートレート

原題:Fur: An Imaginary Portrait of Diane Arbus

 

 
写真家ダイアン・アーバス(1923-1971)の生涯にオマージュを捧げた作品。
 
Googleで「ダイアン・アーバス」と画像検索をしてみて下さい。
すると不思議なことに、双子の写真が大量に出てきたのではないでしょうか?
 
どこかで見たことがあるような…と思ったそこのあなた、正解です。
映画『シャイニング』で主人公ダニーにつきまとう双子にそっくりなのです。
そう、ダイアン・アーバスの写真は『シャイニング』の監督スタンリー・キューブリックに大きな影響を与えたとされています。
人間のちょっと普通でない部分を被写体とした写真を多く残したダイアン・アーバス彼女が惹かれたものに焦点を当てた作品が、今回紹介する『毛皮のエロス/ダイアン・アーバス 幻想のポートレート』になります。
 
伝記映画ではないというのがまず注意書として最初に出てきます。恐らくですが、彼女が追いかけた芸術性がテーマなのではと感じました。
 

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拝みたくなるほど美しい。
とろんとした目、ワンピース、全て完璧でした。
 
 
対する上の階に引っ越してきたミステリアスな住人に、ロバート・ダウニー・Jr.
いや、彼が最高すぎる。これは好きだ。
私はアイアンマンの彼よりも好きだ。
ネタバレしたくないので、彼の劇中写真はここには載せません。
 
 
注目ポイントは、この二人の演技力。
この二人の演技合戦には目が離せなくなります。
もう火花バチバチです。
 
夜な夜な観始めて、2時間サクッと観てしまいました。それくらい、引き込まれる作品でした。
2020年7月現在、AmazonPrime、Netflixいずれにおいても配信中。
 
 

 

 

【※以下、ネタバレあり※】
【※未鑑賞の方は読まないことをオススメします!※】
 
 
 
 
 
私はダイアン・アーバスについてあまり詳しくないので、映画から読み取れる彼女の生きざまを考察していきますね。
 
1.  ハマったら抜け出せない。
夫が写真家として活躍しており、その助手としての生活を送っていたダイアン。夫に進められ、自身もカメラを手に何かを撮ってみよう、とした矢先、ライオネルと出会います。不思議な魅力とミステリアスさにぐいぐい惹かれるダイアンは、次第に家族との生活をおろそかにするようになります。
 
 
2. 彼女が惹かれたもの
ダイアン・アーバスが写真家として選んだ被写体は「人」。
しかも普通の人ではなく、身体的精神的障がい者や双子といった「フリークス(意:風変わり)」な人々を映した作品がとても多いそうです。この映画においても、ダイアンがライオネルに勧められて交流を深める人たちは、そういった人たちでした。
 
ライオネル自身も多毛症という設定であり、社会から隠れひっそりと生きるアウトサイダーな人物です。しかし彼女は恐れることなく、逆に興味を持って近づいていく様子はダイアン自身を現しているのかもしれません。
 
それにしてもこのシーン(↓)、本当に美しかったです。
しかし、私には少し理解できなかったポイントでもあります…
ライオネルはなぜ自分の本当の姿(もさもさな姿)ではなく、毛を剃った姿でカメラの前に座ったのか、という点です。

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もさもさな姿こそがライオネルであり、ダイアンが撮るべき写真だったのではないのか?
もしや…毛の下にある本当の顔を見て欲しかったから、ということなのでしょうか…? 難しい…
 
 
 彼女が写真家として活躍していたのは、恐らく1960年代前後。ですから「ダイバーシティ」なんて言葉があるわけでもなく、彼女が被写体とした人々は「異質な人」として大衆から見られていたはず。そういった人々にレンズを向けた彼女は、ある意味、時代の先を行った人物とも言えるでしょう。
 
 ダイアン・アーバスの写真や彼女の芸術性をもっと知りたくなる作品でした。