レイニーデイ・イン・ニューヨーク(2020年)
『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』(2020年)
原題:A Rainy Day in New York
映画界の巨匠の一人、ウッディ・アレン監督の最新作が日本上陸!
#MeToo運動など、いろいろあって公開がかなり遅れてしまった作品(2018年製作)。
やっと公開されました!
ニューヨークで素敵な週末を過ごすはずだった、1組のカップルに起こる心のすれ違い…雨の街に惑わされ、落ち込み、自らが招いたはずなのに心がついていけない展開…2人の出した答えは何なのか?
ウッディ・アレン監督と言えば、
オシャレな映像、ピアノ、ひねくれ者がキーワード。
(ほとんど)どの映画にも出てきます。私が好きなウッディ・アレン監督作品は
『ミッドナイト・イン・パリ』(2011年)
『マッチ・ポイント』(2005年)
『カフェ・ソサエティ』(2016年)
どれもオシャレでテンポの良い作品です。キャストのチョイスも本当に素晴らしいです。この機会に是非観てみて下さい。
さて、本作品の主演は今をトキメク、
予告の時点で、もうキラキラすぎて目がつぶれる…
かと思いきや、内容や展開は意外とシリアス。
このカップルがすれ違う様子は残念でもありますが、第三者目線から見ると「やっぱり」「ですよね」と思ってしまう、
意外にも納得感のあるすれ違いでもあります。
【※未鑑賞の方は読まないことをオススメします!※】
ティモシー・シャラメ演じたギャツビーの哀愁漂う様子は、ウッディ・アレン監督の表現でお馴染み。素晴らしかったです。
若者の生き方、が本作品のテーマではないかと感じました。
注目はエル・ファニング演じたアシュレーのふるまい方。
ジャーナリスト志望の大学新聞記者。たまたま掴んだ大物映画監督への取材。そこから彼女の天真爛漫さが功を奏したのか、数時間のうちに様々な大物に出会います。
しかし、彼氏との約束は、ほぼ、ほったらかし。
こりゃギャツビーもスネるよね…笑
しかし、取材と称してずんずん突き進むアシュレー。
彼氏といるより、ずっと楽しそう笑
実際にハリウッドのスターというフランシスコ・ヴェガを前にしてテンパる姿は、記者というより、一人のただの映画オタク女子。代々語り継がれることまで心配していました笑
そんなフランシスコ・ヴェガとの会話で垣間見えたアシュレーの心。「彼氏はいるの?」とヴェガから聞かれ、答えた一言。
”Yes........but, technically…No.”
って、おいっ!!!
そこまでギャツビーに思い入れは無かった様子。翌朝のアシュレーの開き直り感、特にギャツビーに悪びれる様子も無し。彼との別れも困惑はしたものの、追いかけることはしませんでした。
結局、アシュレーにギャツビーは釣り合わなかったというところで、物語は終了。恐らくアシュレーは今後ギャツビーを追いかけることもなく、自らの夢を追い続けることでしょう。
一方、セレーナ・ゴメス演じたギャツビーの元カノの妹チャンが、ギャツビーの精神的ガイド役となります。
彼女の(良い意味で)毒のある態度と言葉が、かなり刺さります。
チャンとアシュレーは接触はしていないものの、恐らくチャンは”現彼女であるアシュレーの心の中に、既にギャツビーはいない”と見抜いていたのではないでしょうか。そして、昔からギャツビーのことが気になっていたことを打ち明けます。
最終的にギャツビーの心を射止めたのは、地元ニューヨークの女の子だった
という、点に終着します。
このプチ旅行による変化をギャツビー側から見ると、アシュレーと別れたことだけではなく、自分の居場所を見つけたとも言えます。何となくアシュレーと居心地は良かったものの、どうしても堕落した方向に流れてしまいアシュレーに失望を抱かせてしまう。でもこれが自分なんだと納得し、彼女と別れニューヨークに残るという選択を下しました。
ここまで来ると、今度は
自分の居場所や、夢を再確認した若者たち
vs
雑念に振り回され、決して良いとは言えない生活を送る中年の大人たち
が非常に浮き彫りになります。
ウッディ・アレン監督の腕の光る構図です。とても興味深いです。なかなか深い考察のできる作品でした。
最後に、この『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』の韓国版ポスターが、とても素敵なのでここに載せて終了にしたいと思います。