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フォード vs フェラーリ (2020年)

『フォード vs フェラーリ』(2020年)

原題: Ford v Ferrari
 
1960年代。レーシングカーの最高峰レースと言われる24時間耐久レース「ル・マン」に闘志を燃やした男たちの物語を、フォード目線で描く。

 
当時のル・マンといえば、フェラーリの一勝。しかし、その歴史を大きく変えたのは1966年のレース。この大事件(?!)に至るまでにどんな裏舞台があったのか、史実に基づいてこの映画が作られています。つまり「フォード(米) vs フェラーリ(伊)」なのです。
 
主人公は、フォードのレーサーであるマイルズとレースに向けて現場で指揮を執るシェルビー。この二人が、"レースに勝つこと""組織に尽くすこと"の板挟みに合いながらも、奮闘する姿がとにかく熱く、むさ苦しく、かっこいい。

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主演を務めたのは、シェルビー役のマット・デイモン(左)とマイルズ役のクリスチャン・ベール(右)。ハリウッド大御所俳優二人が魅せたやりとりは、一度観たら忘れられない熱い情熱を見事に表現しています。この二人、好きだーーー!!!!(笑)
 
【※以下、ネタバレあり※】
【※未鑑賞の方は読まないことをオススメします!※】
 
 
 
 
 
 
私が意外だなと思ったのは、"組織の一員として働くべき"という上層部との軋轢をかなり強く描いていた点です。
マイルズはレースで勝利することに懸けていた人物。有能ですが自信過剰なマイルズの態度を良く思わなかったフォードの上層部は、1965年のル・マンではドライバーから外すという決断を下します。レースを指揮するシェルビーも納得いかない様子でしたが、それが"組織の中で働く"ということだと痛感しました。
 
結局レースでの勝利はならず、シェルビーは当時のフォードの社長ヘンリー・フォードを直接説得。「来年のル・マンで勝つにはマイルズが必要だ」と。
そのシーンがとても面白かったですね(笑)
シェルビーがGT40に(ぷよぷよな)社長を乗せて勢い良く走り出したのですから!!(笑) 車が止まった瞬間、社長が時速約350km、7000rpmの世界に圧倒され、しばらく泣き笑いしていた姿が可愛くて、シェルビーが"やれやれ…"していたのも面白かったです(笑)
 
クライマックスは1966年のル・マン特に夜の雨のシーンはドキドキしました。フェラーリと良い勝負だったフォードは、フェラーリの棄権によりマイルズの車の優勝が目前。しかしここでも組織で生きることの壁が立ちはだかります。
"出場しているフォード3台の同時ゴールが見たい"
 

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マイルズにとっては屈辱的な命令でした。彼の優勝は目前。なのにレースで速度を落とさなければならない。シェルビーは
"君の車だ。君が決断すればそれでいい"
と言います。そしてマイルズは3台同時ゴールを選択します。社長さん始め、フォードの上層部は大満足。マイルズらは3台同時優勝を成し遂げたと思われましたが、同時ゴールの場合は、より後ろからスタートした方が上位になるとされ、マイルズはまさかの2位。
 
驚きました。ル・マンのルールを知らなかったとはいえ、彼が成し遂げるはずだった栄誉もなにも消え去ったのです…こんな理不尽なことがあっていいのか…
しかし、マイルズの頭は次のレースに向けられていました。チームとして勝利し、騒ぎ喜び笑顔あふれるフォードチームを背に、シェルビーとマイルズが次なる課題を話し合っていました。
すごくかっこ良かったです。痺れました。自分が大切にしている情熱をどんな外部圧力がかかっても消え失せない、その姿が本当にかっこ良かったです。
 
実話とは思えないようなドラマが繰り広げられた、1966年のル・マン。当時を知る人たちは、"こんなライバル関係、レースはもう二度と無い"と言うほど、華やかで活気に満ちた時代だったそうです。
こんな歴史を知った今、ナマでル・マンを見てみたくなりました。