ウォッチメン(2009年)
『ウォッチメン』(2009年)
原題:Watchmen
冷戦下の緊迫したアメリカが舞台。第二次世界大戦後、アメリカはヒーロー活動によりベトナム戦争が1週間で終わったり、月面着陸にDr.マンハッタンが協力したり、ケネディ暗殺にザ・コメディアンが関与していたり、ニクソンが(史実よりも)長く大統領を務めたり、冷戦が意外な形で終結したりするなど、ヒーロー活動によって作り上げられたもう一つの歴史を経て物語が進みます。
そんな世界で、引退したヒーローグループ『ウォッチメン』のメンバーが何者かに殺害されたというところから始まります。
『ウォッチメン』の原作はDCコミック。しかし、かなりシリアスで大人向けの内容という点で、他とは一線を画する作品です。(DCキャラクターには、バットマンやスーパーマン、ワンダーウーマン、アクアマン、シャザムなどがあります)
アメコミ史上最高傑作と称されたり、映像化は不可能といわれたりしたそうです。そのため、『ウォッチメン』を知る人はかなりのアメコミオタクか映画オタクと言えるのではないでしょうか?(笑)
そんな『ウォッチメン』の映像化を成し遂げたのは、ザック・スナイダー監督。私が観た映画の中で感じたことは、彼の作品は少し暗い画面が特徴であるということです。
さて、『ウォッチメン』の最大の魅力は、キャラクターにあります。それぞれが個性的であると同時に、個々人の悩みや欲望がどろどろに絡み合う関係性なのです。
ロールシャッハ / ウォルター・ジョゼフ・コバックス
『ウォッチメン』の物語を導く最重要人物。じわじわと動くマスク、帽子、コートが印象的な姿です。声もいいです(笑) 落ち着いた雰囲気をかもし、チームの仲間のことを気にかけるいいやつだと思いました。
ナイトオウル2世 / ダニエル・ドライバーグ
素顔を隠したまま引退したヒーローの一人。引退してからはヒーローというものに未練はなく、地味に生活しているという設定。特殊能力は特になく、チームのまとめ役というか信頼できる存在というキャラクター。いろいろあって再びスーツを着るわけですが…私はこの俳優さんが好きなんです…パトリック・ウィルソンです!! かっこいい。
シルク・スペクター(2代目) / ローリー・ジュピター
ウォッチメンの紅一点。彼女もいろいろあって、再びスーツを着ます。Dr.マンハッタンの恋人という設定。まあそこもいろいろとあるので、ローリーに注目しても面白いかも。
オジマンディアス / エイドリアン・ヴェイト
ヒーロー引退後は素顔を明かし、持ち前の賢さ(ここ大事)でヴェイト社を築き上げます。ヒーローとしての彼の持ち味は甚だしい瞬発力。どの距離から撃たれても、銃弾をつかめるほど。そして注目は、この端正な顔立ち。英国俳優を代表するマシュー・グッドが演じています。紫色のスーツを着て登場するシーンがありますが、いや、この人以外に似合う人はおらん(笑)
Dr.マンハッタン / ジョン・オスターマン
ウォッチメンの中で唯一、超人能力を持つ人物。なぜ彼がこの能力を持っているのか?、というのは映画の中で明かされます。存在感抜群の彼が、巨大な陰謀の中で果たす役割は大きく、彼無しでは物語は進みません。
ザ・コメディアン / エドワード・ブレイク
”コメディアン”という名の通り、何でも笑い飛ばそうとする人物。逆を言えばヤバいことを笑いながらやってしまうような人。この人物こそが初めに殺されてしまうヒーローなのです。しかし、なぜこの人なのか?この人の過去は?など、疑問は残ったまま物語は進みます。そして、どんなの出来事も常に彼に関わっていると言っても過言ではありません。
【※以下、ネタバレあり※】
【※未鑑賞の方は読まないことをオススメします!※】
2代目、というワードが出てきたことに気づいたでしょうか?これはウォッチメンの前ヒーローグループ”ミニッツメン”のメンバーから継承したのでしょう。特に1代目および2代目シルク・スペクターは母娘の関係です。そこもいろいろありましたね…
ミニッツメンの物語も深めたら面白そうでした。ちなみに、しゃがんでいる男性はウォッチメンのメンバーでもあるザ・コメディアンです。
ヒーロー狩りかと思われたザ・コメディアンの死がまさか、オジマンディアスによるものだったとは…いや、完全に仲間割れじゃん!!!(笑) しかも、核戦争の引き金をDr.マンハッタンに着せるなんて…オジマンディアス最低じゃん…ロールシャッハをDr.マンハッタンに殺させたのも結局はオジマンディアスでしょ…
結論:オジマンディアスはイケメンなだけで、あのずる賢さには怒りしか感じない
いや、待てよ…人類に平和をもたらしたのはオジマンディアスなのか…?オジマンディアスはそれで幸せなのか…?もやもやした感じが残りました…
Dr.マンハッタンも悲しい人物でした…部屋に閉じ込められ原子レベルでバラバラになり、ヒーローを引退して順調と見えた恋人ローリーには愛想をつかれ、火星に一人たたずみ、オジマンディアスにハメられ、人間を超越した存在になり…悲しすぎた…
アメコミヒーロー映画としては欠かせない、アクションシーンももちろん良かったです。(少々グロテスクな描写もありましたが)特に、
・序盤のザ・コメディアンvsオジマンディアスのシーン
・ロールシャッハがアパートにてオジマンディアスにハメられた後、警察から逃亡しようとするときのシーン
・ローリーとダニエルが、刑務所に入れられたロールシャッハを助けに行くときの突破アクションシーン。
やはり、『ウォッチマン』はかなり上級者向けの映画だったなあと改めて思いました。でも、ハマる人にはハマるような、そんな要素もあるのも分かりました。(私はこの映画、地味に印象深くて好きかも)
ドラマ版が2020年からスタートしたので、時間と余裕があったら観てみたいです。こちらは2019年が舞台で(歴史はそのまま引き継いでいる模様)、生き残った(?)ウォッチマンのメンバーや新しいヒーローが登場するようです。また闇深い社会が描かれそうですね…
ロールシャッハ崇拝集団みたいな不気味なやつらは何なんだ…?おのれ…オジマンディアスもいるじゃないか…現代版ウォッチマン…気になる。